ADCメインのLoL独り言

League of Legends のしがないADCメインが細々と書きます

何故LPLは最強地域になり、LCKは陥落したのか

簡単に表現すれば

 

「ゲームが進化し続けているから」

 

の一言で済む。

 

まずLPLはミクロ重視のソロキューの上位プレイヤーがそのままプロになって戦うリーグだ。

対してLCKはソロキューはもちろんミクロ重視だがプロになると一変してどんなにハンドスキルがあってもマクロ理解がないとなんの役にも立たないというリーグの特徴がある。

 

これを前提に詳しく分析していく。

 

1.昔と今のチャンピオンの違い

 

LoLはリリースから10年経ったゲームだが、過去に出たチャンピオンがお蔵入りになったりすることはない。リワークされて新しくなることはあるが、10年間ほとんど変わっていないチャンピオンも普通に存在する。

カードゲームで言うスタン落ちみたいな制度がないので、10年前のチャンピオンと最新のチャンピオンがレーンで1v1することもある。

 

具体的に昔と今で何が違うのかと言うとチャンピオン操作を極めて得られるリターンが全然違う。

例えばガレンは10年前にリリースされたチャンピオンで多少リワークはされているがスキルの内容などはほとんど変わっていない。

操作は非常にシンプルで少し練習すれば最高パフォーマンスを出せるので通常のランク帯では珍しくないピックだが、プロシーンにはほぼ登場しない。

 

これは膨大な時間真剣に練習に取り組むことができるプロにとっては時間をかけてもすぐに頭打ちになるガレンのようなチャンピオンよりももっと難しくもっと大きなリターンを得られるチャンピオンが優先されるからだ。

 

つまり、ゲームがリリースされた頃は操作がシンプルで分かりやすいチャンピオンばかりだったが、時間が経つにつれゲームは複雑化し、プレイヤーは操作に習熟し、新しいチャンピオンの難易度もどんどん上がっているということだ。そうしなければ色々なゲームが登場する競争激しい業界で人を引き止められない。難しくトリッキーで、リターンの大きいチャンピオンばかりが際限なく増えていく。

(今ガレンとかアニーみたいなスキルセットの新チャンピオンが出ても誰もプレイしないだろう)

 

ここで話をLPLとLCKの関係性に戻す。

5,6年前のまさに韓国全盛期はチャンピオンの操作難度が今に比べてかなり低く、操作をたくさん練習しても頭打ちが早く、できることの限界が低かった。

するとプレイヤー個人のハンドスキルでは差がつかないので、マクロ理解に圧倒的な差がある韓国が1強になっていたのだ。

 

逆に近年、操作が複雑でマスターが難しいが上手く扱えれば明確に大きな有利を取れるチャンピオンが増えてきたことでハンドスキルの差が勝敗に直結する試合が徐々に増えてきた。そして2018年にMSIとWCSを中国が勝った時に、マクロが全ての時代が終わりプレイヤーのハンドスキルが物を言う中国頂点の時代が始まった。

(人口が多い中国サーバーは若いタレントも多く、プロになってもソロキューと同じ方向性の努力を続ければよく、マクロをそれほど重視しなくてよいこともLPLに追い風と言える)

 

よって(もちろんLCKプロのハンドスキルがLPLに著しく劣るわけではないが)これまでマクロに頼ってきた韓国は追いすがることができなくなってしまったのだ。

 

2.ロールの価値の変化

 

1で述べたことに通ずる点も多々あるが、登場するチャンピオンやゲームシステムの変化で所謂メタが変わりキーマンとなるロールが変わることはよくある話だ。

ただこれまでのプロシーン10年を長い目で見るとある変化があることがわかる。

 

プロシーン黎明期のSeason2Worldsに優勝したTaipei Assassins(以下TPA)は一貫したチームとしてのゲームプランを持って成功した初のチームと言える。

彼らはADCを残り4人でサポートするワンマンキャリーコンプを世界中に知らしめた功績を持つ。

(TPAスキンはシェン、ムンド、オリアナ、エズリアル、ヌヌだがエズリアルだけがダメージを出せるのがよくわかる象徴的な構成だ)

 

続くSeason3には未だに世界最高ADCと言われるUzi率いるRoyalがWorlds決勝まで残った。この頃、1で言及した通りチャンピオンのパワーにそれほど差がない時代なので最終的にAAという確実なダメージリソースで戦うADCがゲームをキャリーする存在だった(故にADCはアタックダメージ"キャリー"なのだ)。

そしてそのRoyalを破って優勝したのがSKT T1。BengiとPoohmandu、jgとsupがゲームを支配しUziを育てさせずに完封した戦術は次の大きな転換点だ。

 

それ以来、jgとsupが視界コントロールやオブジェクトコントロールのノウハウでゲームをキャリーする韓国1強時代が訪れた。韓国のjgとsupは常に異常なコントロール力を持っており、BengiやMata、Scoreなどが代表的だが、マクロノウハウを持った韓国人は世界中にレンタルされていく今の国際的な移籍メタが出来上がった。これは2018年にjgの視界アイテムとサイトストーンが削除されるまで続くことになった。

 

ここで2020年Worldsの出場チームの傾向などを見てみよう。

覇権地域中国は分かりやすくtopとmidに強力なレーナーを置き、jgにも攻撃的なスタイルを試合中続けられるポテンシャルのある選手がメタを支配している。特にjgは顕著で韓国が誇る視界コントロールで有利を作るjgは最早今のプロシーンで勝つことはできないだろう。

LPLから出場チームのjg(TES Karsa、JDG Kanavi、SN SofM、LGD Peanut)は全員超攻撃的なスタイルで知られる。ただし半分が韓国人なのは韓国のタレントも枯れているわけではないという不幸中の幸いかもしれない。残りの二人も中国人選手ではないので、中国としてはjgプレイヤーの成長は今後の課題かもしれない。

 

3.botレーンの価値の喪失

 

一方でbotレーンはほとんど重要視されていないのが現状だ。17年のアーデントセンサーメタ以来、プロシーンではADCが明確にゲームをキャリーするメタは来ていない。

ADCが何故重要視されないかと言えば、以下の理由がある。

 

①追加される新チャンピオンの違い

②視界が以前に比べ取りづらくなったこと

③求められるダメージの出し方の特徴

 

①は、1.でも述べたようにtopやmidには操作が難しい反面リターンの大きなチャンピオンが高頻度で追加されている。ADCの視点で言えば、遠距離からCCが飛んできたり(ゾーイやリリアなど)、射程外から急接近するスキルがあったり(カミールなど)、最前線からのローリスクの離脱ができる(エコーやヨネなど)といったようにADCの対処に限界があるスキルを持ったチャンピオンが多数登場している。

かつてCCといえばアリスターやアニーのように射程内に入りさえしなければいくらでも対処ができるものがほとんどだったが、今やADCの攻撃範囲をはるかに超える位置からワンショットされることも珍しくない。ソロキューはもちろんプロシーンですら全く油断していなくても一瞬で消し飛ばされてしまうことがあるくらいだ。

 

②は2.でも述べたが視界を取る手段が減ったため、純粋に安全に行動をすることが難しくなった。強力なキャッチスキルを持つチャンピオンが1体いるだけでADCはタワーの周辺から動けなくなってしまう。故に、ADCは自衛能力が高いorレーンをドミネートできるのどちらかの機能が備わっていない限り特定のチャンピオン以外がピックされることがなくなってしまっている。

 

③はADCの根本としてAAでダメージを出すというものがある。新チャンピオンは複雑でユニークなスキルを持っているが、ADCは最終的にはAAでダメージを出している。今やAAでダメージを出すというプロトタイプな戦い方よりもはるかに大ダメージが出せるスキルファイターが出てきてしまっている。

つまりADCは時代に取り残された存在なのだ。そして、その隣にいるsupも視界コントロールが以前より制限されている分ADCを介護するのが主目的になってくる。LCKチームはチームの力をバランスよく配分する運営が多いので、botレーンとそれ以外の価値の差をロースターやB/Pに反映できていない結果、LPLに歯が立たなくなったとも言えるだろう。

もちろんtopmidjgが強いチーム同士があたればbotレーンが強いほうが有利に決まっているので全く無意味なわけではないが、少なくとも今夏の4大リーグの結果は如実にソロレーンの筋力とjgの攻撃力を反映している。

 

 

以上がゲームシステムやデザイン面の変更以外の側面からも考察したメモ書きだ。

 

今回のWorldsではLPL地域以外のチームがどれだけ食らいつくことができるかが見どころの一つだと思うが、優勝争いに絡むといわれているDWGやG2はいずれもLPLチームに似た強みを持っている(topmidjgラインが超攻撃的)。個人的にはTES JDG DWG G2のどこかが優勝すると思うが、開幕が楽しみだ。